ロール(トレモロ)が途切れてしまうお悩み

浜松在住マリンバ奏者間瀬早綾香です。

マリンバという楽器は「ポン」と音を鳴らすと音はそのまま減衰してしまいます。

そのため、長い音符を演奏したい時、音をつなげたい時にはトレモロ(ロール)という細かく打って音を響かせ、つなげるための奏法があります。トレモロ(ロール)はマリンバの魅力の一つだと思います。

魅力的だからこそ、美しいトレモロ(ロール)がしたい!という気持ちが大きく、悩んでいらっしゃる方も大勢いると思います。

レッスンで「トレモロ(ロール)が途切れてしまう」というお悩みの生徒さんとのレッスンのヒトコマです。

生徒さんの望み

3つの音(三和音)のトレモロ(ロール)がつながっている綺麗な曲を練習中の大人の50代の生徒さん、「和音の変わり目で音が途切れてしまうのでつなげるように弾きたい」と仰っていました。

生徒さんのやっていたこと

生徒さんの様子を観察してみると音が変わるちょっと前に、ほんの少しだけ斜め下方向に頭を押し下げる動きが見えました。

そこでアレクサンダー・テクニークを使うことを勧めました。(アレクサンダー・テクニークを使うってどういうこと?という方はこちらをご覧ください→

生徒さんとの実験

音符の長さはとりあえず無視してもらい、トレモロ(ロール)を続けて

頭セキツイのことをお願いしてから次の音、

頭セキツイのことをお願いしてから次の音、

と言った感じで音の長さは一旦無視して、頭セキツイにお願いすることを優先させて弾いてもらいました。

トレモロ(ロール)がつながる!!

「え?!これだけで?!?!」

生徒さんの第一声でした。
アレクサンダー・テクニークを使うために頭セキツイにお願いするだけで今まで入っていた余分な力が抜けて、必要な力を必要なだけ入れることが出来ました。結果、トレモロ(ロール)がきれいに繋がりました。

3本マレットの時、どっちの手に2本持つ??

3本マレットの時にどっちの手に2本のマレットを持ちますか?

今回の生徒さんは右手に2本、左手に1本のマレットを持っていました。理由は特になさそうでした。(きっと聞き手が右手のため、右手に2本持っていらっしゃったのでしょう。)

楽譜を見ると3つの音の中で1番上の音がメロディで下の2つの音がハーモニーとなっていました。

そのような形の場合、より出したい音(この時は1番上の音、すなわち右手)を1本で持ち、ハーモニーの2音は2本(この場合は左手)で持つとよりメロディが浮き上がってきます。

「得意だから不得意だから」という理由で2本のマレットを持つ手を決めるのではなく、メロディはどの声部かな?ということを考えて持つ手を決めると良いと思いますよ。

トレモロ(ロール)ってどういう風にやるの?

さらに深めていきました。

無意識にやっているトレモロ(ロール)ですが、トレモロ(ロール)ってどんな風に手を動かしているでしょう?

左右左右左右・・・と交互に動かしていますよね?
3つの音の中で1番出したい音(メロディ)はどの音でしょう?(今回の生徒さんは1番上の音でした。)

この場合も音の長さは一旦無視して、メロディの音がリードするつもりで次の和音を弾いてみる、とやってみました。

こうすることで、「一つ一つの和音」という意識から「メロディを奏でる」という意識に変わっていきました。

練習の意図を明確にする

練習をするときにただ漠然と何回も繰りかえすのではなく、望みと意図を持つことはとても大切になってきます。

どんな風に弾きたいのか?

何を克服するための練習なのか?

今回の場合は「トレモロ(ロール)をつなげて弾きたい」という望みだったので、テンポや強弱と言ったものは一旦保留してただトレモロ(ロール)をつなげることだけを考えました。

トレモロ(ロール)がつながって弾けるようになったので、次の段階としてメロディを出すことを提案し、マレットを持つ手を変えてもらいました。

手を変えて綺麗にメロディが出てくるようになったのでさらに欲張ってただの和音がメロディを聞こえて繋がってくるように最後の提案をしました。

一つ一つ何のための練習なのか?練習の意図を明確にして練習に取り組んでいくと良いと思います!使えそうだったら使ってみてくださいね!