言いづらいお願いをするときに|アレクサンダー・テクニーク

マリンバ奏者の間瀬早綾香です。ただいま私はアレクサンダー・テクニークの教師の実習中です。
今、実習生レッスンと言って10回のレッスンを5人の方に行うということをやっている最中です。

どんな方にレッスンをするのか?というと楽器を演奏する方もいれば、日常動作のレッスンをする方もいます。

アレクサンダー・テクニークのレッスンってどんなことをするの?

先日の60代の女性とのレッスンでのことをシェアしますね。

何気ない会話の中から娘さんに対してお願いをしてもなかなか聞いてくれない。という話になりました。
相手を変えるのは無理です。でも、自分自身を変えることはできます。こちらからの働きかけを変えたら、もちろん相手は変わる可能性はあります。

現状を知る

どんなシチュエーションでなにを娘さんに伝えたいのか?ねがいはなんなのか?ということを聞きました。

シチュエーションとしては
・娘さんが食べ終わった食器をテーブルの上に置きっぱなしにしている。

何を伝えたいのか?
・自分で食べたお皿を片付けてほしい。(母として激しく同意です。笑)

望みは?
・テーブルをすっきりときれいな状態にしたい。

再現をしてみる

今までどんな様子で娘さんに伝えていたのか?再現してもらいました。
グループレッスンだと、娘さん役の方が別にいると一番いいのですが、オンラインの個人レッスンのため、私が娘さん役となることにしました。

生徒さん「自分で使った食器を片付けてくれない?」

どことなく命令されるようなそんな印象を受けました。もちろん、これでも片付けるかもしれません。でも、娘さんのご機嫌が悪かったり、タイミングが悪ければ「チッめんどくさいな」と思われてしまうかも?と感じました。

頭セキツイをお願いしてみる

次は頭セキツイの関係性をお願いしてアレクサンダー・テクニークを使い、自分のコーディネーションを整えてやっていただきました。

生徒さん「自分で使った食器をかたづけてくれる?」

さっきより柔らかい印象になり「優しいお母さん」という雰囲気が出てきました。でも、まだまだ改善できると思いました。

望みを明確にする

私たちはどんな行動をするときも必ず望みを持っているはずです。
「食器を片付けてほしい」という何気ない望みの中にも、大きな望みというものがあるはずです。それを生徒さんに考え直してもらいました。すると・・・。

「テーブルの上をきれいにすっきりさせたい」

という望みが出てきました。

ご招待する

そしてさらに、相手をご招待する。ということを提案しました。
それはどういうことか?というと、自分のスペースの中にどうぞいらっしゃい。一緒にお話ししましょう。と相手を迎え入れることです。何か特別なことをしたり、行ったりする必要はありません。ただ、ご招待するという意識を持つだけで十分です。
これは相手が近くにいる場合に限らず、どんな遠くにいても(オンラインでも)相手を自分の元へご招待できるものです。(これは演奏の時にとても役立ちます。)

優しいお母さんからのお願い

以上のことをお声がけさせていただき、もう一度やっていただきました。すると…。

「テーブルを使いたくてすっきりさせたいから、食器を片付けてもらえない?」

と優しい雰囲気からさらに「なぜ片付けてほしいのか?」という理由まで明確になり、優しいお母さんからのお願いという雰囲気になり、聞いているこちらは「優しいお母さんからのお願いだから聞こう!」という気持ちになりました。(あまりの大きな変化に鳥肌が立ちました。)

生徒さんに聞いてみると何を話そうということは考えていなかったけど、スラスラ口から出てきたとのことでした。

全身のコーディネーションが変わり、望みが明確になることで醸し出す雰囲気が変わり、口に出す言葉も変わってくることはよくあることです。

なにか話をするとき、特に相手に対して「ちょっと言いづらいな」ということを言わなければいけないときに使えそうだったら使ってみてください。