急な階段を降りるときに気づいたこと|アレクサンダー・テクニーク

浜松在住のマリンバ奏者の間瀬早綾香です。現在アレクサンダー・テクニークの教師になるための実習中です。

2023年3月28日か4月6日まで大学生の娘と2人でカンボジアに行ってきました。

なぜカンボジアなのか?というと、私の娘は2020年3月にカンボジアの教育支援活動をしているNPO法人LEAFの夏目佳枝さん(私の大学の同期で仲良し)と愛知県幸田町のライオンズクラブの方々と幸田町の高校生と一緒にカンボジアへ行き、現地の小学校で運動会を開催し、日本で集めたランドセルや文房具を子どもたちにプレゼントする予定でした。

なぜ、「予定だった」のか?というと、そうです。新型コロナウィルスの影響で中止になってしまったのです。

娘のリベンジという気持ちと付き添いという名目で、私はノリと勢いで小さな木琴を持って、一足先にカンボジア入りしていたNPO法人LEAFの夏目佳枝さんを訪ねる形で行ってきました。

夏目佳枝さんはフルート奏者なので、彼女と一緒に現地の小学校、日本語学校で演奏もしてきました。

カンボジアで何を感じて、何を見てきたのか?というと、途上国の現状を目の当たりにして人間にとって何が大事なのか?ということを考えさせられたり、支援について考えさせられました。そして自分の無力さを感じて帰ってきました。

カンボジアについて語り始めたら収拾がつかないので(笑)、アレクサンダー・テクニークについて気づいたことをお伝えします。

カンボジアといえばアンコールワットと思う方も多いでしょう。もちろん私たちも行きました。
そこで気づいたことです。

夏目佳枝さんと娘と私。がんばってジャンプしました(笑)。

アンコールワットの第三回廊と言われるところは上まで登ることができます。幅の狭いとても急な階段を上ります。

ここからではないですが、同じようなつくりのところです。下から見るとこんな感じです。
こんな急な階段です。

登るのは良いです。上からの景色もよかったです。でも、一度登ったら降りなければいけません。階段を降りるときは本当に足がすくみました。特に高所恐怖症というわけではありません。雨で階段が滑りやすくなっていたわけではありません。混雑していて、急かされるような状況だったわけでもありません。でも、怖くて手すりをぎゅっと握って頭を押し付けて階段一歩一歩踏みしめる自分がいました。

なぜ怖いのでしょう?
「脚を滑らせたり、階段を踏み外して落ちたら怖い」からでしょう。
でも、「かもしれない」ことであり、「必ずそうなる」とは限りません。

手すりをぎゅっと握って頭を押し付けて階段一歩一歩踏みしめれば危険は回避できるのでしょうか?
そうでもないですよね?階段を一歩一歩確実に降りていくだけですよね?だけですよね?

「ん???今、私が階段を降りるのに手すりをぎゅっと握る必要があるかしら???」←私の心の声

そうなんですよね。私のやることは階段を一歩一歩降りることです。手すりを使うのは「万が一足を滑らせた時にすぐに対応したいから」という理由です。私の身体は健康なので、手すりに頼らないと足が出せないというわけではありません。脚を滑らせた時に転び落ちないようにその時だけ私の手は手すりを握ればよいわけで、降りるときにはぎゅっと握る必要がありません。

ということに気づいてからは頭をぎゅっと押し固めることなく、手すりをぎゅっと握ることなく一歩一歩確実に落ち着いて降りていくことができました。

ここで実はアレクサンダー・テクニークの原理が隠されています。
どんなことか?というと、目的にむかって確実な手段を選ばなかったり、気持ちばかりが焦ってしまってもうまくいきません。これをエンドゲイニングといいます。
でも、逆に目的に向かって確実に一歩一歩進んでいくと必ず自分の想い描くゴールにたどり着くことをミーンズウェアバイといいます。

ただただやみくもに恐れていた私はエンドゲイニングだったと言えます。そして、自分のやるべきことが分かり、階段を降りることができた私はミーンズウェアバイだったと言えます。

私たちヒトは経験が少ないことに対しては怖がる傾向にあると思います。何が必要なのか?自分がやっていることは本当に必要なことなのか?問い直してみると気づくことがあるかもしれません。


アレクサンダー・テクニークのレッスンは日常生活の動きについて、演奏中の動きについて、思考についてのレッスンです。気になる方は是非お問い合わせください。